第十四節 バラ色トンネル
「バラ色トンネル」

日暮れを告げる鐘が鳴る。

雫こぼれて濡れる肌

お別れの時 離れる舟

白い水蒸気 震える泡

遠くを飛ぶ 鳥の羽

ゆりかごの夢 葬式の列

深く息を止めて目を閉じて

また会う日まで

しばらく居眠り

バラ色のトンネルくぐって

果てなき川を

どこまでも流れて行く

花びらが散る岸辺よ

幼い頃の懐かしい景色よ

さらば さらば

喜び悲しみ 入り口と出口

遠ざかる思い出の歌

風に漂う赤いリボン

  

胸に手をのせて 耳を澄ませば

絡まる糸がほどけてゆく音

静けさの中に浮かんで

さまよいながら

どこまでも流れて行く

  

花びらがつもる水面に

うつる日々よ

懐かしい笑顔よ

さらば さらば

   

  

夜空に続く淡い西の黄昏の光

あの星にたどりつくまで

 

バラ色のトンネルくぐって

果てなき川を

どこまでも流れていく

 

花びらが散る岸辺よ

愛した人よ

すばらしい世界よ

さらば さらば

命知らずの冒険野郎

若き脱出王が、手枷、足枷

ロープ、鎖で、簀巻きの南京錠、ジャーラジャラ。

小舟に乗り込みまして……

旅立ちます

真夏の夜空へ!!

おあいにく。 今夜は雨!!
まじ!?
慧、脱出王、一宇川夫妻、見えない女、木村三郎、井川由美子